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#抹茶ラテさん (9dav7ao6)2024/12/15 12:18 (No.28891)削除リレー小説
「あやかし同盟」
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「はぁっ・・・どこに消えたっ!?」秋の満月が夜道を照らす。腰には日本刀を刺し、服装は袴。一見江戸時代の人かと思いきや、思いっきり現世。ふと、後ろで気配がした。「そこかぁ!」日本刀で林を切ると、姿を現したのは大きな灰色の物体。周りからは青い煙が出ている。「『鬱無』、そこまでにしなさい」日本刀をまっすぐ構え、その剣先を「鬱無」に向ける。「鬱無」は人間の弱い部分が固まったもの。そして、私たちは「真火」と呼ばれる剣士たち。鬱無が真っ直ぐ私に向かってくる。私は懐から札を出した。「塗り壁!」札を刀で切り払うと、私の目の前には大きな壁が出てきた。「姫乃様、下へ」私の名前は、寿乙女姫乃。真火・寿乙女家の次期当主。塗り壁が作ってくれた隙間を利用して、下へと潜る。「駒吉、出番だよ」私はそう言ってから刀で円を描いた。すると、その円が光って私の使い妖が出てきた。毛並みが綺麗な白狐。名前は駒吉。少し態度が悪い時もあるけど、それも可愛いところなの。駒吉が鬱無の周りを走り出すと、その周りだけ鮮やかな赤色に包まれた。私は跳んでその中に入り、懐に入っていたもう一枚の札を出して、その上から鬱無を斬った。すると、鬱無は小さな光の粒となって消えた。「塗り壁、駒吉。お疲れ様。戻っていいよ」「お役に立てて光栄でした。姫乃様」そう言って塗り壁は戻って行った。「別に姫乃のために来てないし!」「はいはい、わかってる」私はまた刀で円を描き、駒吉を「そちら側」へ戻した。私はまた夜道を駆けて、屋敷へ戻る。「ただいま戻りました」少しがらんとした屋敷には、外で稽古する音がよく響く。「姫乃〜!おかえり!」私の姿を見つけるなり抱きついてきたのは、私の1番の親友でライバルの綾瀬輝夜。輝夜も真火なんだ。輝夜は綾瀬家の次期当主。私の屋敷にいるのは共同で探っていることがあるから。「ただいま、ちょっと待ってて。母上に報告しに行かないとだから」私は輝夜を引き離し、母上のいる部屋へと向かう。「母上、報告に参りました」「お入りなさい」襖をゆっくりと開けると、古い書物を見ている母上がいた。「先ほどの鬱無、無事に消えました」「そう、よかった。今日はもう遅いから早く寝なさい」「ありがとうございます。おやすみなさい」「おやすみ」母上の部屋の襖を閉めると、輝夜が自分の部屋から手招きしていた。「姫乃、早く!」「何?」私は早く寝たいのに。私が部屋に入るなり言ってきた言葉は、「ここわかんないから教えて!」だった。まだ宿題が終わっていなかったのか。「もう中学生なんだからできるでしょ?」「無理!」「わかった、教えてあげるから。先にお風呂に入ってくるね」
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お風呂から出て、まだ髪も乾いてないまま。「ここのxをこっちに移して・・・」輝夜に宿題を教える方が鬱無を倒すよりずっと大変な気がする。
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